MC カートリッジ専用管式フォノイコライザーアンプが現実的か確認するためデザインしてみた

真空管によるMCカートリッジ専用フォノイコライザーアンプを企画してみたので、それにしたがってざっとデザインしてみました。

PEQ1

初段の五極管は spice モデルがある 6AU6 にしてみました。spice でしか確認していないので、これでまともなのか判断がつきませんが、見た感じ動くモノは出来そう。

初段だけで 60dB (1,000倍)強ゲインを稼いでます。その後に 12AX7 のバッファーをはさんで次の RIAA 特性 CR フィルターに対するインピーダンスを下げてます。これが無いときっと R5 の値を実機で塩梅しないとまともにならない気がしたので入れました。

単純に考えるとこれを省いて単純にした方が良いように思えますが、6AU6 の品質のバラつきにフィルターの動作が左右されかねないことを考えると、調整機構を入れたくなるし、そもそも動作中もなんか変わりそうな気もするし・・・結局、こういうところの安定性を欠くものは、趣味のもので自分だけが使うとか、調整が趣味で音楽を聴くのはその手段であるという人であるとか、そんな場合では許されるでしょうけれど、現代的な工業製品としてはいかがなものかと思うのです。まあ、今回の企画は別段近江屋で製品化するつもりもないものなので、それでも良いのですが。

で、R5、R6、C3、C4 が RIAA フィルター回路。これに対して出力を受ける側のインピーダンスは十分高いことを想定したものなのですが、1MΩもあれば十分高いと言えるのではないかと。R3 が 1MΩなのは ECC88 (6DJ8) のグリッド抵抗が最大 1.3MΩで、常識的に 1MΩくらいが良いところかと考えました。

U3 を ECC88 ではなく 12AX7 (ECC83) にすれば 2MΩにできますが、そこまでの必要は無いですし、12AX7 ではゲインがありすぎるので NFB を掛けて下げるなどの対応が必要になってしまいます。それは面倒だったし、ゲインという意味では ECC88 は十分品質がそろっているように見え、敢えて 12AX7 などを使い NFB でゲインを無調整に追い込むことも必要なさそうと思えたためです。

さらには ECC88 は出力インピーダンスが低いので、このさらに後にバッファーを入れたり、この段を SRPP などにするといったような出力インピーダンスを下げるための工夫も必要なくなりますし。

ちなみに U3 (ECC88) のカソード抵抗に並列にコンデンサを入れていないのは、これも若干電流帰還を効かせてゲインを削るためもあります。これで丁度よくなる感じです。出力インピーダンスを考えるとコンデンサを入れた方が良いかもしれませんが、その場合はゲインが増えてしまいますし、どうせ後段のプリアンプも管式なら、その受けの抵抗もある程度以上大きい値でしょうから、気にするほどでも無いかと判断しました。

・・・あ・・・C5 は、プリアンプの入力インピーダンスを考えたらもっと大きい値が良いですね。R9 のみを負荷とするなら 0.1μF でも十分ですけれど。

V1 が 140V で V4 が 180V なのは、U2 の動作域を確保しようとしただけです。

あと、U1 の SG2 は案外出力に影響するので、今回のケースのような微小信号を扱う場合は安定化した電源で揺るがない電位を与えるようにした方が良いと思います。

これで企画案の多極管を初段に持ってきてゲインを稼ぐことで MC カートリッジ専用フォノイコライザアンプを実現できそうな見通しは立ったので、この後は実際に動くモノを設計して作ってみるとなりますね。

6AU6 は手元に NHK 放出の中古球が一本あるきりなので、これは他の球に換えて、サブミニチュア管の 5702 辺りにしましょうか。そうなると 12AX7 や ECC88 もサブミニチュア管に変えたくなりますね・・・電源的にも ECC88 ほど電気食わない方がありがたいですし。

いろいろあって続く

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