前回の続き
私事で忙しく、しばらく間があいてしまいました。
さて前回はヘッドアンプ段を 6AU6 ×2 で増幅とアクティブロードを作り高増幅を得るので良いのではないかというところに落ち着きました。
こんな構造です。課題は V3 と V4 をどのようにするかです。
V3 については、普通に V1 から抵抗で引いて U1 カソードにブリーダー抵抗とパスコンで繋いで電位を確保すれば良いような気がします。
V3 はそれで済むとして V4 は絶縁電源で浮いていないとならないのと V1 が直 U2 プレートに入っているので、似たようなことは難しい。それだけではなく、スクリーングリッド電位は結構精密に管理しないと簡単に out のグランドからの電位が大きく(10V程度は)変動してしまいます。ちょっとトリマー調整で、という具合には行かないところです。 なので何らかの制御が必要です。
U1 のスクリーングリッド電位の管理は、U2 の方の動作点が定まれば勝手に落ち着くところに落ち着くという考えで、あまり手の込んだことはしないでおきます。
V4 の絶縁の問題は、とりあえず V4 の電流容量がさほどではないことを考えると簡単なのは電池を使ってしまうことでしょうか。これだとノイズ的にも有利ですし。
そんなことを考え、描いてみたのが下の図です。
点線で囲まれた部分が U2 スクリーングリッドの電源と制御回路になります。
V7 は電池で賄うことになります。U3 はフォトカプラで安直に絶縁してます。こうしておけば Vb の選択範囲も広く取れますし。
制御の仕方は、Vb 電位と out (U2 カソード)電位をそれぞれ R23、R22 と R16、R17 で分圧し、U4 で形成した作動増幅回路で比較し、結果を U3 に入れて M1 のゲートを制御し、U2 スクリーングリッド電位を制御しようということになります。その間、C4、C5、C6、C7 で音声帯域以上の電位差は捨てるようにすれば U2 スクリーン電位はほぼ DC 成分が残ることになります。
ようするに U2 スクリーングリッド電位を制御して out の電位を安定させる DC サーボ回路です。
out の出力は次段のカソードフォロアに直結します。なのでわざとカップリングコンデンサを経ていません。
C1、R4 の線は局所 NFB を掛けるためで、この NFB はゲインの安定を主に目しています。U1、U2 のバラつきが原因のゲインのバラつきや、経年変化による同様のバラつきをある程度抑えたいために、ちょっとだけ NFB を掛けたい。
諸定数が入っていないのは、これがまだ構想設計図だからです。ここから、U1、U2 にどれだけ電位を掛け、電流を流すかなど考えていくことになり、それにしたがい Vb なども決まってくるので、まずはそこら辺を決めてからということに。
そこが決まると R1、R2 や R8 が定まり、それにつれ U2 SG 電位の目標値が定まり・・・と続く。あと M1 や U3、U4 を具体的に何にするかという課題が残ります。
M1 にしろ U3、U4 にしろ、扱うのはほぼ直流ですので、あまり特性に注文は無いのですが、まあローノイズな方が良いかもしれませんね。あとは耐圧や熱特性程度で決めても十分かもしれません。
ただ、U4 は単電源で立ち上げシーケンスに注文があまり無いオペアンプが良いと思います。そうじゃないといろいろ立ち上げ時の時定数管理が面倒なことになります。
VRef の電位は U3 の特性の狙ったところを使うように設定します。
M1 の R13 は、主に ピーキーにならないように 電流帰還掛ける目的です。R13、R11 と R9、R10 の組み合わせで M1 の美味しいところを使えるように調整です。
市場に出回っていて個人が容易に入手可能な部品で構成することを考えると、一番種類が限られそうなのは U3 のフォトカプラでしょうか。これを入手可能なもので適当に選ぶと、その諸元から U4 の出力への要求が決まる。あと U4 に関しては、上に書いたような要求入れて選択することになる。M1 は基本耐圧と電力次第で適当に選択するとして、結果として R9 や R10 の比が決まる。それが決まれば、電流帰還量から R13 の値がおおよそ決まって、比から R11 も定まる。R11 を入れている主な狙いを考慮すると、R13、R11 に流れる電流量は U2 SG に流れ込む量よりずっと大きくしたいとかはあります。
あとはこの図ではまだ入れていない保護用のダイオードなどを要所、要所に入れてという感じでしょうか。
U1、U2 の動作点の選び方によっては、U1、U2 を 6AU6 でも EF86 でも同じ U2 用 SG 電源で動かせるように出来るかもしれません。