トランスミッションライン方式スピーカーについて その1

スピーカーのトランスミッションライン(TLS)方式について書いてみます。全部まとめてだと長いので要素技術ごとにばらしてそれぞれ複数投稿し、最後にまとめればどうだろうか?ということで複数回に分けて投稿します。

一応、本文では文系の方でもついていける様に数式は極力避けますが、中学校の科学(物理)で習う(音の速度とか周波数とか波長とかそういう)程度の話は避けません。というかそのレベルを避けるとむしろ話が訳分からなくなるし。まあ四則演算と簡単な物理現象の理解は必要です。あと想像力。

ちなみに工数が確保できないので、絵解きはほとんどしない予定。言葉のみでどこまでいけるか・・・

なんでTLSスピーカーについて書きたがるかというと、コンシューマ製品ではあまり見ない方式ですが自作箱では結構作っている人もいるし、一つの決定的な欠点を除くとすばらしく性能がよろしいからです。自分でも作ってみましたしね。

あとバスレフ(位相反転ヘルムホルツ共鳴)方式とかはアマチュアには根本原理のヘルムホルツ共鳴を利用する部分を除くと経験エンジニアリング的でブラックマジックすぎると私には思えるし。

本当は他人様に解説する文章を書くと自分の理解も深まるというのが最大の目的。

TLS方式の最大の欠点は日本じゃ致命的なので、日本の大メーカーでは製品にすることはありえないかな?

ものが大きくなるんですよ!!普通に良くある低域の限界40Hzくらいのスピーカーを工夫せずストレートに作ると2mくらいの長さの塔になってしまうのです。折り曲げたりなんだり、形状工夫で塔では無くすることは可能ですが内容積は変わらないので、でっかくなります。

40Hzでそんななので、20Hz出せるのなんて作ったら・・・単純に周波数振幅特性だけ見たらバスレフ方式が最強ですかね。

あと技術的な領域じゃないところでの最大の特徴は「TLS方式は設計開発に明確な方法論が確立されていないと、多くの人が勘違いしている」ということでしょうかね。

トランスミッションライン、日本語では伝送線路もしくは伝導路。電気技術の方面の言葉ですが、音響的には伝声管が相当物です。

TLS方式スピーカーの主な要素技術は、以下の五つになります。

  1. 伝送路(伝声管、伝送線路、線路、伝導路…)
  2. 1/4 波長共鳴管(1/4 λ共鳴管と書かれることも)
  3. ユニット取り付け位置による背圧・振動制御(機械・電気特性の変化)
  4. 伝送路のインピーダンス変化による音響フィルター
  5. 吸音(ダンプ)による音響フィルター

この五つを複数の目的で巧妙に組み合わせて成り立つのがTLS方式のスピーカーの理屈と考えていただけばよろしいでしょう。これに一般的な共通要素の箱の素材や作りによる振動の制御が加わってスピーカーシステムの作り方(設計の仕方)として一応の完結をみることになる。

ということで、最短このあと6回くらい投稿することになります。あと、私の解釈ということで誤りなどあるかもしれないけれど、そこは堪忍。

その2へ続く

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